閑田 冗 詩集

閑田 冗 詩集

 

雨は嫌いだ

晴れが好き

快晴が好き

 

でも

晴れの日は気もそぞろで落ち着かない

何かしたいけれど

しないともったいないと思うけれど

何も予定していなかったら

一日を無駄にしたように感じてしまう

とても落ち込む

自分を責める

 

だから

雨の日もたまにはいい

一日何もできないけれど

あきらめがつく

みんな同じ

しょうがないよとなぐさめてくれる

涙雨

家で一人いろいろ考えることができる

今日は力をためて

晴れの日に備えよう

 

答え

答え

 

答え が分からない

どれだけ考えても

 

答え が見つからない

どんなに探しても

 

答え が見えない

何歳(いくつ)になっても

 

答え が出ない

いつまでたっても

 

答え は一つ

答え は一つなのか?

 

答え は誰にも分からない

答え は誰も教えてくれない

 

答え は何だろう

答え を知りたい

答え はいつ分かる?

 

答え がまったく分からない

答え がぜんぜん見つからない

答え がまるで見えない

答え は未だ出てこない

 

答え なんて

ないのかもしれない

 

一人

一人

 

誰かを傷つけることもなく

誰かに傷つけられることもない

一人なら

 

悶え 苦しみ 怯え

迷い 悩み 泣いて

そんな姿を誰かに見られることもない

一人なら

 

恨みも

妬みも

憎しみも

ストレスも

そのうち時間が解決してくれる

一人なら

 

愛されていたのだろうか

必要とされていたのだろうか

死んだら気づいてくれたのだろうか

誰かに

 

今日も独り言を言うしかない

一人なら

 

嫌な世の中

嫌な世の中

 

便利な世の中

生きづらい世の中

嫌な世の中

 

自由が自由を支配する

金だけがものを言う

夢なんか持てない

家なんか買えない

 

コンピューターに命令されて

ロボットに踊らされて

SNSに傷つけられる

 

夜は不安で眠れない

朝は眠くて起きられない

 

日本も世界も宇宙も

人間も動物も植物も

家族も友人も恋人も

仕事も結婚も将来も

事件も事故も災害も

問題を抱えたまま生きていくしかない

 

便利な世の中

生きづらい世の中

嫌な世の中

ヤモリ

ヤモリ

 

時にはトースターの下に隠れて

時にはペットボトルの裏に隠れて

またある時には洗面所の隅に身を潜めて

 

けなげに

たくましく

追いやられても

しぶとく

命がけで生きている

たとえ尻尾を切り離しても

 

贅沢しているのは誰だ

毎日を必死に生きていないのは誰だ

へばりついてでも生きてみろ

 

網戸から彼に言われているようだ

 

 

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毎日嫌なニュース

 

目を閉じてニュースを聞いている

耳をふさいでニュースを聞いている

 

悲しみとため息

怒りと悔しさ

あきらめと虚しさ

 

事実

真実

現実

 

知ることで打ちのめされる

自分の無力感

 

今日も玄関のドアを開ける

 

隧道(トンネル)

隧道(トンネル)

 

歩いても 歩いても

見えない出口

 

そこを目指して

僕らは彷徨っている

 

歩いても 歩いても

思い出せない

 

いつから隧道の中

歩いているのだろう

 

歩いても 歩いても

誰にもわからない

 

答えを探して

僕らはもがいている

 

歩いても 歩いても

疲れ果てても歩き続ける

 

暗闇の先の先

脱出してみせる必ず

 

 

がんばれる

がんばれる

 

誰かのためにすることは

なぜか自然と体が動く

 

他人(ひと)のためにと思えれば

なぜか自然と体が動く

 

塞ぎ込んだ日々

うそのように

 

見えない明日

とうの昔

 

誰かのためなら がんばれる

いつも以上に がんばれる

 

他人(ひと)のためなら がんばれる

思った以上に がんばれる

 

あなたのためなら がんばれる

自分のこと以上に

 

 

必要な時間

必要な時間

 

今からでも遅くはない

今さらなんて事はない

 

知り

気付き

教えられ

考え

反省し

 

迷い

立ち止まり

休んで

また歩き始める

 

どれだけ怖くても

どれだけ不安でも

今は足踏みしていても

 

一見ムダな時間

でもそうではない

私にとって

必要な時間

 

 

自然

自然

 

ベランダでせんたくものをほす

雲一つない青空

風もない おだやかな

あたたかく 気持ちがいい

お日さまのにおいがする

家々の屋根が見える

とても静かな朝

 

車の窓から見える夕焼け

雲間から差し込む夕日

空をさまざまな色に染め

一秒ごとにその表情を変える

うらめしいほどに美しい

 

今この世の中で 本当に

悲惨なことなど起こっているのか

夢を見ているのではないか

とうたがうほど

 

それとも

 

自然にだまされているのは

僕だけなのか

 

 

辛い日々が続く

今も

今までも

 

辛うじて生きてきた

今も

今までも

 

辛い日々が続く

これからも

 

辛うじて生きていく

これからも

 

たとえ命辛辛であっても

私たちは

生きていかなければならない

 

たった一人が差しのべた手で

辛が幸になることだってあるのだから